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◆特集◆ 高速・高純度サンプルの回収を行う装置(核酸、タンパク質)(5/5)


TOPIX
  ○核酸(DNA・RNA)を回収する装置
      ・遠心分離・アルコール沈殿タイプ
      ・フィルター濾過タイプ
      ・磁性ビーズ吸着タイプ
  ○タンパク質を回収する装置
  ○試薬
  ○関連受託サービス


タンパク質を回収する装置

タンパク質の精製は核酸と異なり非常に難しいものとなります。タンパク質はその基本単位としてアミノ酸から構成されていますが、核酸がアデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)という4つの塩基から構成されているのに対し、アミノ酸はその5倍の20種類も存在しており、その組合せは実に多様です。

また、タンパク質は生体を構成する成分として細胞中に最も多く含まれ、その種類も非常に多種にわたっています。そのため、多くの(性質が似ている)タンパク質から目的のタンパク質のみを選択することは非常に難しく、多くの手間と時間がかかります。

また、タンパク質の精製では1次構造はもちろんのこと、高次構造を保持したまま回収することが望ましく、不純物を除去するための変性剤を用いることが難しいのが現状です。

さらに、核酸とは異なり一度高次構造が破壊されたタンパク質は一部の例外を除き、自律的に修復することは出来ません。

また、タンパク質は一度回収・精製されたとしても、核酸のように配列が判明した後に直接複製するということが難しいので、サンプルを消費するたびに回収する必要があります。

これらの要因から、タンパク質の回収では核酸の回収のように不純物の変性・除去を繰り返し、目的の成分だけ残す手法ではなく、未変性の不純物の中から目的の成分のみ抽出を行うという方法を用います。

代表的な方法としては、GST(Glutathione-S-transferase)タグやHisタグを用いた組換えタンパク質の回収と精製があります。GSTタグは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼという酵素がグルタチオンという物質に特異的に結合する反応(基質・酵素反応)を利用し、GSTタグが付いたタンパク質を回収するという方法です。

同じようにHisタグは、ヒスチジンというアミノ酸がニッケルに対して強固に結合するという特長を生かし、組換えタンパク質配列中にヒスチジンを6つ結合させ、ニッケルを用いて組換えタンパク質を選択的に回収・精製するというものです(図5)。

図5.GST・Hisタグを用いた組換えタンパク質の回収法
組換えタンパク質発現ベクターは、目的のタンパク質遺伝子をクローニングするMCSの上流もしくは下流にGSTやHis6などの配列(タグ)が組み込まれています。このタンパク質配列を宿主内で発現させ、宿主細胞を破砕して細胞懸濁液を調製します。いくつかの前精製を行った後、この懸濁液をGSTタグの場合はグルタチオンを、His6タグの場合はNi(ニッケル)を充填したカラムに通し、これらの物質とタグとを結合させて目的のタンパク質を回収します。最後にカラムを洗浄バッファーで洗浄した後、目的のタンパク質を溶出します。

今回紹介する機器も、これらのタグを用いたタンパク質の精製を行う装置となります。この方法では先にも述べたように、組換えタンパク質を作成する必要があります。そのため、回収したいタンパク質配列の遺伝情報がどうしても必要になりますので、適用できるサンプルに制限があるのが現状です。


自動組換えタンパク質回収システムは、
キアゲン
【順不同/(株)は略】
などから販売されています。


試薬

今まで紹介してきたように、核酸やタンパク質の回収・精製という操作には複数の実験手法があります。そのため、このカテゴリに分類される試薬にはかなりの種類がありますので、ここでは各カテゴリごとに製品を分類して紹介していきたいと思います。

核酸回収・精製試薬キット

単品の試薬と、回収・精製に関連する試薬類を集めたキット製品があります。サンプルごとに専門化されたキットは、そのサンプルを処理する上で最も効率の高い組合せになっていますので、誰でも簡単に高純度のサンプルを得ることが出来ます。

タンパク質回収・精製

単品の試薬と、回収・精製に関連する試薬類を集めたキット製品があります。サンプルごとに専門化されたキットは、そのサンプルを処理する上で最も効率の高い組合せになっていますので、誰でも簡単に高純度のサンプルを得ることが出来ます。

特に先ほど紹介したヒスチジンタグを用いたキットが多く、そのほかには電気泳動後のゲルからのタンパク質回収・精製キットがあります。しかしながらタンパク質の回収はサンプルごとに条件が異なる場合が多く、購入する場合には十分な情報収集が必要となります。


最後に全ての製品について共通ですが、それぞれの機器スペックの他に試薬スペックにも注目する必要があります。いくら高性能な機器を導入しても、使用するサンプルに適した試薬がないと正しく機能してくれません。各サンプルに対して複数の試薬を各メーカーはラインナップしていますので、機器の選別と同様かそれ以上に試薬の情報を入手する必要があります。


受託サービス

今回紹介したように、自動化システムによって高純度のサンプルが迅速に回収することが出来ます。しかし、自動化システムといっても、サンプル・試薬の準備、プログラムの設定、精製サンプルの回収と分類にはやはり研究者の操作が必要となり、完全に自動化は出来ません。そこで、完全な省力化を目的とするなら受託サービスの出番となります。

受託サービスでは、サンプルの種類ごとに回収方法や純度を細かく設定でき、必要とあれば得られるサンプルごとに分類して保存・郵送してくれるので、回収の後の煩雑なサンプルの整理も省力化することが出来ます。
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